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20250612 モーニング、プール、ボヤ

20250612 モーニング、プール、ボヤ

7:30、起床。健康オタクのマッチョが彼と同じ研究室に居るらしく生活のリズムが健康的になり始めている。今までも何度かそんな兆しがあったが、今回こそはもしかしたら習慣として定着していくのかもしれない、私までマッチョの恩恵を受けている。

昨晩提案したパンケーキのモーニングに向けて私より前のめりに準備をしている。私達の予定はあってないようなもの(とでも思っておかないと予定通りを期待しがちな私が持たない)なので、まだ毛布を被ったままだった私は願ってもないというか、棚ぼたというか、あら行くのね、という気持ちでむくむくと布団を出る。

8:30、出発。起きて1時間も何をしていたのか分からないけれど朝なんてそんなものだ。^_^  休日だしね、私たちを咎めるものは何もない。今日必要な荷物をメッセンジャーバッグぱんぱんに詰めパンケーキに向けて歩き出す。すれ違うのは行ってらっしゃいと旗を振る人、通勤中の人、犬のお散歩をしている人、なんとも凪いだ住宅街と小川の辺りをお散歩して着くカフェが本日の第一目標。

8:50、到着。ふわふわのパンケーキとカフェラテで800円。ちいちゃな子供達と、手を繋ぐために屈んだまま歩く先生達が時折窓の外を通り過ぎる。特別安いとは言えないけれど、眺望と気持ちの良い空気と立地がお代に含まれていると考えたらまた早起きした日に来ようねと言いたくなるような、goodなmorningが過ごせる場所だった。


10:00、カフェ二軒目。当たりのカフェだ、飲み物を頼んだらカヌレのかけらを付けてくれた。甘いものって一口分あるだけで5倍は嬉しくなる。次の予定に備えてビスコッティを追加で注文する。お客さんは持ち帰りのお菓子だけを買っていく人もいれば、パソコンを閉じてじゃあまた、と店を出る人も、本を読んでいる人もいる。広くはないけれどずっと丁度よく席が埋まっているし、トイレから戻ったらお冷が満タンになっている。店員さんは元気で、店内は非常に小気味がいい。どこもたいてい冷房が効きすぎているとか背後で電動コーヒーミルの音が定期的に鳴るとか何かしらが気に触るのに、こんなに起こったことを挙げていっても不快が思い浮かばないお店ってなかなか出会えない。また行くことになるんだろう。

12:00、今日のメインイベント、市民プールへ。去年も数回来て泳ぎ、絶対痩せたわと満足して帰った覚えがあるけど、あれ、?もしかしたら一昨年の記憶かもしれない。

もうこの暑さはプールにでも入らないと帳尻が合わない…と思っていたのが2日前、みんな考えることは同じなのか、水泳な苦手らしい彼が超珍しくプールに行くと言うから話を聞くと元水泳部の同期が泳ぎ方を教えてくれるらしい。機運には乗っていこうと烏滸がましくもついて行くことにしたのだ。

律儀に準備運動をしてプールに入る。

彼がお友達に教わる傍らで私も倣ってみると、苦手だったクロールの身体の使い方が、こうだったのか!と腑に落ちる。確かに上手な人の泳ぎ方を思い出すとそんな動きをしていたけれど、あれはもっと太腿から動かさなきゃいけなくて、その為には腹筋というか体幹のような軸をもっと強く意識しなきゃいけないのか…とか。闇雲に見様見真似で泳いでいた小中学生の頃より、生活しているだけで身体が凝ると言う悩みが生まれるが故に各部位の動かし方を意識するようになった二十代半ばの今、新しいスポーツの楽しみ方を手に入れたみたいだ。


泳いでいたら2時間も経ってしまった。お昼にビスコッティしか食べていないお腹はぺこぺこ、でも大概のお店のランチタイムが終わってしまった時間。3件振られてやっとこさ入れたのは老夫婦がテレビを見ながら作ってくれるお好み焼き屋さん。私と彼はチーズモダン焼きとミックス焼きを半分こ、お友達は豚玉を注文する。大きな鉄板で焼かれて出てきたお好み焼きはプール上がりの腹にするすると入っていって、無くなった。今日は当たりのお店しか引かないみたい。


お友達とさよならして、二人とも気を抜いたら寝てしまいそうだからとカフェに入る。彼がパソコンをかたかたとする向かいで今これを書いている。なんともいい休日だったと振り返って思う。


書き手は翌日の私に変わる。カフェを出た後も一日はもう少しだけ続いた。


帰り道、ちょびっと気になっていたことを彼に尋ねた。「私が誘った時は全く乗り気でなかった散歩や早起きが今続いてるのはなんでだろう」

最も近くで生活している私がこうだともっと良くなれるんじゃないかと伝えた提案より他の人の言葉の方が響いているのは何故なのか、単純な疑問と嫉妬のようななにか薄暗い感情が混ざった質問だった。

「私が感化されたマッチョは既にそう生活して効果を実感しているようだし、健康でいたいという思想と行動が一貫している人を見ていいなと思って」と彼は答えた。

そりゃあ私にはどれも足りては居なかったさ、薄暗い気持ちがむくむくと濃ゆくなる。何もこんなことで不貞腐れなくても良いはずだけど、気持ちよく朝を過ごしたいねと合意した翌朝、翌々朝、その次の朝の無反応で透明度5%ずつ重ねて段々暗くなっていった気持ちを、どうしたらいいのか分からなかった。その気持ちのままの私は、友達に絆された途端ぱちっと7時のアラームで目を覚まし始め、まだ少し睡眠が足りてないままの私にお構いなくばったんばったんと朝を始めた彼への気持ちも、どうしたらいいのか分からなかった。

暗い方を向く私と、じゃあ私もそうなっていけたらいい生活は作っていけるじゃんね、健康的な生活を始めるという一番高いハードルを越えさせてくれたマッチョに感謝〜、、と思う私が拮抗している。はっきりと二分した自分を自覚しているものだから、表に出る私はどう彼と会話をしたらいいのか分からなくなって、不貞腐れ続行してしまう。みじめだ。私たちの生活を変化させられなかったのは、私を変えられなかった私だし。

「怒ってるの?」と伺われるも、怒っている、なんて口にしたくない。でも多分、怒っていた。

向いた矛先の人間としては迷惑極まりない話だけれど怒っている時とは不思議と心地が悪くないもので、怒っていさせて欲しいと思ってしまう。怒りという燃料で燃えているボヤを眺めているような、もう少しこの暗闇の中で綺麗に燃えている炎を眺めさせて欲しいと思うような感覚。そんな感覚の中で絡まった思考を解きながら、数日前から気になっていた風呂の赤カビを擦る。普段洗わない壁やサボってぬめり始めていた排水溝を黙々と綺麗にしていく私に、「小麦粉と片栗粉、間違えちゃった~」とか、買ってきたままの鶏ももを洗面所まで持ってきて「見て、このでかいの、一口サイズ?」とか、いつもならしてくれないような些細な報告をしてくる。うっとり炎を眺めている暗がりの部屋の照明をつけてくる。もう少し炎を眺めていたい私と、粗方思考を紐解き終わり不貞腐れていたのが馬鹿らしくなってきた私が顔を見合わせる。私が掃除に打ち込んでいる間に作ってくれたご飯も出来上がったことだし、丁度良く不貞腐れ終われそうな空気まで作ってくれた訳だし、ご飯は美味しく食べたい。ごめんねはなんか違うし、ありがとう、と言って晩御飯を食べた。

Date : 2025/06/19
タグ: diary, strolls, tektek